一人で遊ぶ販促ゲームは、対戦型より倫理的だと感じられる ゲーム要素を使った販促キャンペーンを、消費者はどこまで公正だと感じるのでしょうか。オンライン実験の結果、一人で完結する設計は、他の参加者と関わる設計より倫理的だと評価されました。複数人で遊ぶ場合でも、競い合う設計より協力し合う設計のほうが好意的に受け止められています。一方、結果が腕前で決まるか運で決まるかという違いは、それ自体では評価を分けませんでした。 2026.09.09 育成・評価・タレント
個人報酬もチーム報酬もアイデアを却下させる、効くのは両者の組み合わせ チームの創造性を引き出したいなら、報酬の置き方が鍵になるかもしれません。実験室での研究によれば、個人の成果に報いる報酬はもちろん、チームの成果に報いる報酬でも、話し合いの中でアイデアが却下される回数は増えていました。最も却下が少なかったのは、個人とチームの両方に報いる混合報酬の条件です。自己志向と向社会性のどちらか一方を強調するより、両立させる設計が有効だと示唆されます。 2026.09.08 チーム・協働
負の感情を扱う仕事では深層演技が表層演技より働き手を傷つける 感情労働の研究では長く、感情を偽る表層演技のほうが有害で、本心から感情をつくり出す深層演技は害が小さいと考えられてきました。この研究は債権回収という職種を深く掘り下げ、その前提が負の感情を扱う場面では成り立たない可能性を示します。顧客の苦境が働き手自身のつらい記憶を呼び起こし、湧き上がった真正な感情がそのまま痛みになっていました。 2026.09.08 多様性・ハラスメント
社会の難題は、協働の設計次第で組織が挑める課題になる 地球規模の社会問題は、個人や一組織の努力だけでは動きません。この論文は、そうした問題を協調と協働によって現実的に取り組みうる課題として定式化し、その立案・言語化・実行を分析するための枠組みを提示しました。あわせて、集合的な目標の達成を高める要因と抑え込む要因を挙げ、今後の実証研究が向かうべき問いを示しています。 2026.09.08 リーダーシップ・マネジメント
活力は正午がピーク、努力の影響は夕方に現れる 同じ「がんばり」でも、活力を高めるときと奪うときがあります。この研究は、1日の活力の動きを資源動員・資源活用・資源撤退という三つの局面に分けて追いかけ、睡眠の質が朝の立ち上がりに、正午の努力が日中の下降に、午後の努力と没入が夕方の落ち込みに関わることを示しました。努力の代償は、働いている最中よりも、終業後にはっきり見えてきます。 2026.09.07 組織・エンゲージメント
変化への抵抗は、人の脳・組織・因果の三層に埋め込まれている 組織変革がうまくいかない理由を、著者は「人が抵抗するから」では説明が浅いと考えます。この論文は、認知神経科学・システム理論・複雑性科学を手がかりに、抵抗が人・組織・因果という三つの層に埋め込まれた制約の表れだと論じます。そして、制約に逆らうのではなく沿うように施策を設計することを提案しています。 2026.09.07 育成・評価・タレント
働く人を「平均」ではなく「タイプ」で捉える分析法の要点 同じ職場でも、働き方のパターンは人によって違います。この論文は、そうした「人の中での変数の組み合わせ」からタイプを取り出す潜在プロファイル分析について、職業行動研究での使われ方を整理した総説です。すでに幅広いテーマで使われている一方、手順や報告の仕方にばらつきがあることを示し、実践しやすい手引きとベストプラクティスをまとめています。 2026.09.07 働き方・ウェルビーイング
言語による締め出しが組織への所有感を弱め、破壊的な発言を招く 多言語で働く職場が増える一方、言語を理由に会話から外されることが従業員に何をもたらすかは、あまり調べられてきませんでした。本研究は、こうした言語による排除が組織に対する所有の感覚を弱め、その結果として組織への仕返しの色を帯びた否定的な発言を増やすことを、実験と現場調査の両方で確かめています。さらに、従業員を意思決定に巻き込む働きかけが、その悪影響を和らげることも示されました。 2026.09.06 組織・エンゲージメント
女性の適応支援より、ジェンダー障壁を直接取り除く実践が効く 人里離れた過酷な現場に出向く地球科学の仕事で、女性はどのように壁を越えているのでしょうか。この研究は、男女の地球科学者への67件の半構造化インタビューから、現場の物理的な条件と周囲との社会的な関係の両方に根ざしたジェンダー障壁と、女性が取る戦略を描き出しました。環境に自分を合わせる対応は障壁を温存しやすく、障壁そのものに働きかける対応と、それを直接扱う組織慣行のほうが効果的でした。 2026.09.06 多様性・ハラスメント
サステナブルAIは徳倫理と人間中心設計で一つに束ねられる AIをどう使うかという話と、AIそのものが資源を使い偏った扱いを生むという話は、これまで切り離して論じられてきました。この論文は、その二つを一つの倫理の問いとして捉え直し、人がよく生きること、自分で判断する力、そして共に育てる善さを軸にした枠組みを提案します。徳の考え方と人間中心の設計思想を重ね、現場・組織・文化の三つの層でAIを見る道筋を描いた理論研究です。 2026.09.06 倫理・コンプライアンス
職場から家庭への圧力は一方通行、支えたのは親族と仲間だった ワークライフバランスの研究は、役割の境界が引きやすく制度も比較的あてになる環境を前提にしてきました。この研究は、長期の任務や予測できない勤務、支援の行き届かなさが続くナイジェリア軍の現場で聞き取りを行い、仕事と家庭の影響が双方向ではなく構造的に偏っていることを描き出します。公式な支援が弱いところでは、親族や仲間、地域の助け合いといった文化に根ざした資源が、その偏りを部分的に受け止めていました。 2026.09.05 働き方・ウェルビーイング
AIの自動化と人の拡張は分けられず、偏れば悪循環になる 機械が人の仕事を引き受ける「自動化」と、人が機械と密に組んで仕事をする「拡張」。近年のビジネス書はこの二つを分けたうえで、拡張を優先せよと説いてきました。本論文はそこに異を唱えます。マネジメントの現場では両者を切り分けられず、どちらかに偏れば組織にも社会にも望ましくない結果を招く。両方を抱え込む視点こそが、事業と社会の双方に効いてくると論じます。 2026.09.05 採用・HRテック
エコシステムを「構造」として定義し直すと、似た言葉との違いが見える 「エコシステム」という言葉は、この20年ほどで経営戦略の議論に広く入り込みました。本論文はその言葉を、組織や活動のあいだの相互依存を表す「構造」としてとらえ直し、明確な定義と、構造を書き表すための文法、そしてエコシステム戦略ならではの論点を示します。さらにビジネスモデルやプラットフォームといった近い概念と突き合わせ、この言葉が議論に何を足し、何を足さないのかを切り分けています。 2026.09.05 リーダーシップ・マネジメント
人とAIのチームの適応は4つの条件が左右する 人とAIエージェントが混ざったチームは、状況が変わったときにうまく噛み合わなくなりがちです。本研究は、これまでのチーム理論だけではその難しさを説明しきれないとして、メンバー・仕事・環境の相互作用をひとつの枠組みに束ねる考え方を提案しました。鍵になるのは、予測可能性・観察可能性・計画可能性・指示可能性という4つの条件です。 2026.09.04 チーム・協働
評価者研修の成果と結びついたのは意欲より認知能力 評価者研修の成果を分けるのは、受講者のどんな特性でしょうか。学習目標志向性や内的統制感といった特性は一般的自己効力感を介して研修へのやる気と結びついていましたが、そのやる気は研修後の知識や評価の正確さを予測しませんでした。代わりに、頭を使う成果指標と最も安定して関連していたのは認知能力で、一方でFOR訓練そのものは評価の正確さを複数の面で改善していました。 2026.09.04 育成・評価・タレント
集団で転職してきた人は定着し、元からいた社員が抜けやすくなる 他社から複数人が同時に移ってくる採用を、この研究は「コモビリティ(同時移籍)」と呼びます。研究チームは、一緒に移ってきた人どうしは以前の関係と仕事の進め方を持ち込めるため職場に根を張りやすく、離職しにくいと論じます。一方で受け入れ側の既存社員は、人間関係と仕事の構造が組み替えられることで職場とのつながりが弱まり、離職しやすくなると想定しました。この効果は移ってきた集団が大きいときや、リーダー格を伴うときに強まるとされています。 2026.09.04 組織・エンゲージメント
危機が続く環境では『退く・戻る』の周期が生存を支える 紛争が続く地域で事業を営む起業家たちは、危機から「立ち直る」のでも「成長する」のでもなく、繰り返す危機と資源不足のなかで事業と暮らしを続けること自体を目指していました。本研究は、そうしたレジリエンス(逆境に対処する力)が、いったん退き、また関わり直し、やり方を変えるという周期として現れることを示します。ただしその生存は、本人の健康や事業の成長、人とのつながりを差し出すことと引き換えでした。 2026.09.03 組織・エンゲージメント
働く人のストレスを『資源の増減』で読み解く理論、30年の到達点 職場のストレスをめぐる研究には、燃え尽き(バーンアウト)から強い衝撃を伴うトラウマ性ストレスまでを一つの見方でつなぐ理論があります。それが資源保存(COR)理論で、人は自分にとって大切な資源を守ろうとし、失うことを避けようとする、という前提から働く人のストレスを捉えます。本論文はこの理論の原則と派生命題を整理し直し、組織行動の研究がどう使ってきたかをたどった総説です。 2026.09.03 組織・エンゲージメント
職務資源は職務要求の悪影響を和らげる:JD-R理論15年の到達点 職務要求−資源(JD-R)理論は、仕事の要素を「負担になるもの」と「支えになるもの」に分けて捉える枠組みです。本論文は、2001年の提唱から15年ぶんの研究を振り返り、モデルが理論へと成熟していった過程を整理しています。中心に置かれているのは、さまざまな職務資源が、さまざまな職務要求からバーンアウト(燃え尽き)へ向かう影響を和らげる緩衝役を果たす、という証拠です。 2026.09.03 働き方・ウェルビーイング