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人種の多様性が高い法律事務所ほど高業績、その多様性は若手層に集中

多様性は本当に業績につながるのか。この長年の問いに、米国の法律事務所のデータで答えた研究です。人種的多様性が高い事務所ほど財務業績が良いという関連は確認されました。一方で、その効果はトップ層ほど強まるという著者らの予想は支持されませんでした。さらに、最も収益性の高い事務所ほど、多様性がアソシエイト(若手弁護士)層に集中していることもわかりました。

組織の包摂シグナルは、LGBTにも非LGBTにも効く

特定の層に向けた包摂施策は、その他の従業員の居場所を奪うのではないか。この「ゼロサム」の懸念に、本研究は否定的な答えを出しています。組織レベルの包摂シグナルは、LGBT従業員の心理的安全性を高めて非LGBT従業員との差を縮めるだけでなく、非LGBT従業員自身の心理的安全性も高めていました。包摂は限られたパイの奪い合いではない、という示唆です。

障害者雇用の認証や社員ネットワークがあっても、求人広告の包摂的施策は少ない

英国で、障害者雇用に関する政府の認証制度に参加していたり、障害のある社員のネットワークを持っていたりする組織は、一部の障害者向け採用・定着施策を求人広告に載せる傾向がありました。しかし、そうした組織でも記載はまれでした。認証や社内組織があることが実際の取り組みにつながっているのか、それとも対外的な見せ方にとどまっているのかが問われています。

多様性推進への逆風の今こそ、倫理と責任の視点から問い直すべきだ

多様性・公正・包摂(EDI)への逆風が強まっています。それなのに、その取り組みを倫理の問題として捉え直す視点は、研究の世界でもまだ足りていません。本稿は、多様性の「実践」を論じた一冊を手がかりに、そう指摘する書評論文です。画一化を求める圧力や、多様な人が集まれる場が失われていく動きに抗うことに注目し、急いで取り組むべき研究の方向を示しています。