起業家研究

投資家の質問の焦点が、男女の資金調達差を生む

男性起業家と女性起業家の資金調達額の差は、投資家が投げる質問の違いから生まれていました。男性には成長や可能性を問う質問、女性には損失回避を問う質問が多く向けられ、起業家も同じ枠組みで答えます。そして損失回避を問われた起業家ほど、調達額が低くなっていました。答え方を変える介入によって、この差を縮められる可能性も示されました。

女性起業家の正当性は宗教の再解釈から始まる

アラブ首長国連邦の女性起業家は、国の女性活躍推進や国家発展という大きな物語に自分の事業を重ね、起業家としての正当性を語りによって築いていました。同時に彼女たちは、イスラームの教えとビジネス倫理を自ら読み直し、女性が事業を営むことは倫理的で社会的責任のある行いだと位置づけていました。外向きの説得の前に、内側での解釈のやり直しがあったのです。

ガラスの天井は残り、越境するキャリア研究が広がる

ジェンダーとキャリアに関する学術研究を長期にわたって集め、地図として整理した論文です。研究の量は増え続けており、中心にあるのは「ジェンダー化された組織」や不平等、昇進を阻む「ガラスの天井」といった主題でした。同時に、コロナ禍やデジタル化、ギグエコノミーを背景に、女性起業や国際キャリア、バウンダリーレス・キャリアへの関心が高まっていることが示されています。

危機が続く環境では『退く・戻る』の周期が生存を支える

紛争が続く地域で事業を営む起業家たちは、危機から「立ち直る」のでも「成長する」のでもなく、繰り返す危機と資源不足のなかで事業と暮らしを続けること自体を目指していました。本研究は、そうしたレジリエンス(逆境に対処する力)が、いったん退き、また関わり直し、やり方を変えるという周期として現れることを示します。ただしその生存は、本人の健康や事業の成長、人とのつながりを差し出すことと引き換えでした。