リーダーシップ・マネジメント

ビジネスモデル革新の研究は、言葉の定義がそろっていない

ビジネスモデル革新は、この15年ほどで研究者にも実務家にも注目されてきたテーマです。しかし著者らが2000年から2015年の査読論文150本を見直したところ、この分野には理論的な土台が乏しく、実証研究も積み上がっていないことが浮かび上がりました。何がきっかけで革新が起き、どんな条件でどんな成果が出るのかは、まだ十分に描かれていません。

ロビイングが承認を早めるかは企業の評判しだい

企業が規制当局に働きかけるロビイングは、承認を早めることもあれば、かえって審査を慎重にさせることもあります。本研究は、当局が「早すぎる決定」と「遅すぎる決定」の両方で批判されうる立場にあり、自らの評判を守るために審査の時間を裁量的に使うと考えました。米国FDAの医療機器承認データの分析では、ロビイングと承認の速さの関係が、企業のリコール歴や革新性の評判によって変わることが示されています。

撤退できないのは意思決定ではなく、日々の会話の積み重ね

複数あった選択肢が、いつのまにか一本の失敗しつつある道へ絞り込まれていく。本研究はその過程を、個人の判断の誤りとしてではなく、メンバー同士のやり取りのなかで結びつきが強まっていく過程として描き直しました。人はアイデアを握りしめるだけでなく、次第にそのアイデアの側に握られていく。実務家の実感に近いこの見方が、抜け出せないチームを理解する手がかりになります。

気候アクティビズムは事業と両立する形だけがキャリアに報われる

社内で気候変動に取り組む専門職の活動は、どんな形なら評価され、どんな形なら見過ごされるのか。本研究は、専門サービス企業で働くコンサルタントらへの聞き取りから、活動の進め方には三つの型があり、事業と両立しやすい形ほどキャリア上の見返りを得やすいことを示しました。抵抗的な活動は評価されにくく、社内の変化は小幅なものにとどまりやすいと論じられています。

社会の難題は、協働の設計次第で組織が挑める課題になる

地球規模の社会問題は、個人や一組織の努力だけでは動きません。この論文は、そうした問題を協調と協働によって現実的に取り組みうる課題として定式化し、その立案・言語化・実行を分析するための枠組みを提示しました。あわせて、集合的な目標の達成を高める要因と抑え込む要因を挙げ、今後の実証研究が向かうべき問いを示しています。

エコシステムを「構造」として定義し直すと、似た言葉との違いが見える

「エコシステム」という言葉は、この20年ほどで経営戦略の議論に広く入り込みました。本論文はその言葉を、組織や活動のあいだの相互依存を表す「構造」としてとらえ直し、明確な定義と、構造を書き表すための文法、そしてエコシステム戦略ならではの論点を示します。さらにビジネスモデルやプラットフォームといった近い概念と突き合わせ、この言葉が議論に何を足し、何を足さないのかを切り分けています。