倫理・コンプライアンス

AIと一体化した自己像は、創造の自信と依存の両方を生む

職場にAIが入り込み、働き手が「AIを使いこなす自分」という自己像を持つようになったとき、創造性はどうなるのでしょうか。本研究は、その自己像が創造的自己効力感を通じて創造的逸脱を促す一方、AI依存を通じてそれを抑えるという、逆向きの二つの経路があることを示しました。抑え込む側の経路は、損失や失敗を避けようとする傾向が強い人ほどはっきり現れています。

親友でもある同僚への妬みは、関係を守る動機と同時に働きます

職場の同僚が同時に親しい友人でもある関係は、比較の材料を増やし、相手の成功や恵まれた境遇が自分ごとになりやすくします。本論文は、そこで生まれる妬みが「つらさを減らしたい」という個人的な動機と「大切な関係を保ちたい」という関係的な動機を同時に立ち上げると論じます。そして、その処理の仕方によって、感情そのもの・状況・表に出し方のいずれかを調整する経路へ分かれ、経路ごとにその後の感情と関係の行方が違ってくると整理しています。

従来型の運用者もESGを使い、主な用途は危険信号とリスク管理

ESGへの配慮は一部の専門ファンドだけのものと思われがちですが、国際的なファンドマネジャー調査は違う姿を映しました。従来型の運用者の多くがすでに責任投資の要素を組み込み、ESG情報を主に危険信号の検出とリスク管理に使っています。著者らは、その進め方が従来のファンダメンタル投資とよく似ていると論じています。

同じ目標でも探し方が違えば行き着く戦略が変わる

企業は利益と社会的責任のように複数の目標を同時に抱えますが、実際に手を動かして改善案を探すとき、その進め方までは意識されていません。この研究はシミュレーションによって、同じ選好を持っていても採用する探索の手順(ヒューリスティック)が違えば、たどり着く戦略も見つかる機会も系統的に変わることを示しました。

社会的評価が目標を上回ると企業の善行は緩む

企業の社会貢献は、経営者個人の「自分は道徳的な人間だ」という感覚に左右されるようです。本研究は、自社の社会面での成績が目標を下回ると経営者が埋め合わせに動き、上回るとむしろ気が緩むという、道徳のシーソーのような仕組みを描きました。企業の状況が経営者の心理に降り、そこから再び企業の行動へ戻る往復の道筋を、アーカイバルデータの分析と実験の両面から検討しています。

サステナブルAIは徳倫理と人間中心設計で一つに束ねられる

AIをどう使うかという話と、AIそのものが資源を使い偏った扱いを生むという話は、これまで切り離して論じられてきました。この論文は、その二つを一つの倫理の問いとして捉え直し、人がよく生きること、自分で判断する力、そして共に育てる善さを軸にした枠組みを提案します。徳の考え方と人間中心の設計思想を重ね、現場・組織・文化の三つの層でAIを見る道筋を描いた理論研究です。