エビデンスに基づくレビュー

前向きさは性格ではなく、測れて育てられる四つの資源です

前向きさは性格だから変えられない——そう考えられがちですが、本論文はそこに線を引きます。ホープ、自己効力感、レジリエンス、楽観という四つの資源からなる心理的資本は、測定でき、状況によって変わり、働きかけによって伸ばせるものとして位置づけられます。そのうえで、開発の方法やリーダーの関わり方まで含め、研究と実践の両面から到達点がまとめられています。

ビジネスモデル革新の研究は、言葉の定義がそろっていない

ビジネスモデル革新は、この15年ほどで研究者にも実務家にも注目されてきたテーマです。しかし著者らが2000年から2015年の査読論文150本を見直したところ、この分野には理論的な土台が乏しく、実証研究も積み上がっていないことが浮かび上がりました。何がきっかけで革新が起き、どんな条件でどんな成果が出るのかは、まだ十分に描かれていません。

人事研究に定着したPLS-SEM、使い方には改善の余地

エンゲージメントのように直接は測れない概念を扱う人事研究では、PLS-SEMという分析手法が広く使われています。本研究は、主要誌に30年間で掲載された77本のHRM研究を集め、その使われ方を最新のガイドラインと突き合わせました。手法は分野に定着している一方で、適用と報告の両面に改善すべき点が残っていることが示されています。

職業データベースO*NETの派生尺度を整理し妥当性を検証

経営や組織の研究では、職業の特徴を測るためにO*NETの記述子を組み合わせた独自の尺度が数多く作られてきました。本レビューはそうした尺度を集めて整理し、妥当性の根拠が十分なものを選び出して、「O*NET Plus」という拡張された枠組みにまとめています。研究者が似た尺度を作り直す手間を減らし、職業記述の共通基盤を用意しようとする試みです。

統制変数は性別・年齢・在職期間に偏り、理由の説明はほぼない

組織や人事の研究では、実験が組みにくい代わりに統制変数を入れて他の影響を取り除きます。主要誌に10年間で載った580本を内容分析したこの研究は、テーマがまるで違う領域でも統制変数が性別・年齢・在職期間に集中し、選んだ理由の説明はごくわずかだと示しました。著者らは、含めるべきかを判断するための問いと手順を提案しています。

HR分析は成果につながるのに、なぜ広がらないのか

人事のデータ活用をめぐる研究を体系的に読み解いた論文です。導入が組織の成果につながるという証拠は存在するのに、実際に取り組む組織はごく少ないという矛盾が浮かび上がりました。しかも質の高い査読誌に載った研究自体が限られており、根拠はまだ十分に積み上がっていません。