研究と実践のギャップ

ビジネスモデル革新の研究は、言葉の定義がそろっていない

ビジネスモデル革新は、この15年ほどで研究者にも実務家にも注目されてきたテーマです。しかし著者らが2000年から2015年の査読論文150本を見直したところ、この分野には理論的な土台が乏しく、実証研究も積み上がっていないことが浮かび上がりました。何がきっかけで革新が起き、どんな条件でどんな成果が出るのかは、まだ十分に描かれていません。

人事研究に定着したPLS-SEM、使い方には改善の余地

エンゲージメントのように直接は測れない概念を扱う人事研究では、PLS-SEMという分析手法が広く使われています。本研究は、主要誌に30年間で掲載された77本のHRM研究を集め、その使われ方を最新のガイドラインと突き合わせました。手法は分野に定着している一方で、適用と報告の両面に改善すべき点が残っていることが示されています。

統制変数は性別・年齢・在職期間に偏り、理由の説明はほぼない

組織や人事の研究では、実験が組みにくい代わりに統制変数を入れて他の影響を取り除きます。主要誌に10年間で載った580本を内容分析したこの研究は、テーマがまるで違う領域でも統制変数が性別・年齢・在職期間に集中し、選んだ理由の説明はごくわずかだと示しました。著者らは、含めるべきかを判断するための問いと手順を提案しています。

実務家向け雑誌を内容分析すると現場の関心が見える

人材開発の研究と現場の間には隔たりがあると言われ続けてきました。本論文は、実務家向けに発行されている雑誌そのものを分析対象に据え、内容分析の手順を組み立てて示します。学術的な枠組みを持ち込まず、その媒体の論理に沿って読むことで、通常の文献レビューでは見えない現場の関心や優先順位を継続的に追跡できる、というのが著者らの主張です。