働き方・ウェルビーイング

前向きさは性格ではなく、測れて育てられる四つの資源です

前向きさは性格だから変えられない——そう考えられがちですが、本論文はそこに線を引きます。ホープ、自己効力感、レジリエンス、楽観という四つの資源からなる心理的資本は、測定でき、状況によって変わり、働きかけによって伸ばせるものとして位置づけられます。そのうえで、開発の方法やリーダーの関わり方まで含め、研究と実践の両面から到達点がまとめられています。

上司のワーカホリズムの悪影響は部下の「同一視」で和らぐ

働きすぎの上司のもとで部下が疲弊するかどうかは、部下がその上司をどう受け止めているかによって変わるようです。本研究では、上司のワーカホリズムが部下の強迫的情熱を高め、それがバーンアウトへとつながる経路が確認されました。一方で、上司に自分を重ねるリーダー同一視が強い部下では、この経路が弱まっていました。

職務満足が自分の平均より高い時期は、ストレスも炎症も低い

高齢者介護施設で働く人たちを18か月にわたって追いかけた研究です。同じ人の中で職務満足が高まった時期には、知覚ストレスが低く、血液中の炎症指標も低いという関連が確認されました。勤務外で無償の介護を担う人とそうでない人とで、まったく別の経路が働くとまでは言えませんでしたが、個人の中で起きるパターンには違いが見られました。

人脈づくりが報われるかは、性別と国で変わります

自分から動く人ほど人脈を広げ、その人脈がキャリアへの満足を高める——この流れは、ベトナムでも米国でも確認されました。しかし、人脈づくりが満足に結びつくかどうかは、どこでも同じではありませんでした。ベトナムでは男性にその関係が見られた一方、女性では確認されず、米国では男女で目立った差がありませんでした。努力が報われる条件は、性別と社会の期待によって変わるようです。

職務の要求と資源の理論は、個人差・階層・家庭へ広がった

働く人が消耗するか、いきいき働けるかは、仕事の負荷と、それを支える資源の組み合わせで決まる。この考え方を提唱した著者ら自身が、先行レビュー以降の研究の広がりを整理し直したのが本稿です。近年の発展として、人によって効き方が違うこと、要求と資源は個人だけでなくチームや組織にもあること、働く人が自ら環境に働きかけること、そして仕事と家庭がつながっていることの四つが挙げられています。

働く人を「平均」ではなく「タイプ」で捉える分析法の要点

同じ職場でも、働き方のパターンは人によって違います。この論文は、そうした「人の中での変数の組み合わせ」からタイプを取り出す潜在プロファイル分析について、職業行動研究での使われ方を整理した総説です。すでに幅広いテーマで使われている一方、手順や報告の仕方にばらつきがあることを示し、実践しやすい手引きとベストプラクティスをまとめています。

職場から家庭への圧力は一方通行、支えたのは親族と仲間だった

ワークライフバランスの研究は、役割の境界が引きやすく制度も比較的あてになる環境を前提にしてきました。この研究は、長期の任務や予測できない勤務、支援の行き届かなさが続くナイジェリア軍の現場で聞き取りを行い、仕事と家庭の影響が双方向ではなく構造的に偏っていることを描き出します。公式な支援が弱いところでは、親族や仲間、地域の助け合いといった文化に根ざした資源が、その偏りを部分的に受け止めていました。

職務資源は職務要求の悪影響を和らげる:JD-R理論15年の到達点

職務要求−資源(JD-R)理論は、仕事の要素を「負担になるもの」と「支えになるもの」に分けて捉える枠組みです。本論文は、2001年の提唱から15年ぶんの研究を振り返り、モデルが理論へと成熟していった過程を整理しています。中心に置かれているのは、さまざまな職務資源が、さまざまな職務要求からバーンアウト(燃え尽き)へ向かう影響を和らげる緩衝役を果たす、という証拠です。