調整要因

VRの状況判断テストは臨場感を高め組織の魅力も上げる

採用選考で使われる状況判断テストの場面を、テキスト・動画・VRのどれで見せるかによって、受検者の感じ方は変わります。二つの実験の結果、動画は臨場感を高めたものの組織の魅力度には影響せず、VRは臨場感と魅力度の両方を高めました。さらにVRの効果は、若年・中年の受検者で高年齢の受検者より強く表れました。

AIと一体化した自己像は、創造の自信と依存の両方を生む

職場にAIが入り込み、働き手が「AIを使いこなす自分」という自己像を持つようになったとき、創造性はどうなるのでしょうか。本研究は、その自己像が創造的自己効力感を通じて創造的逸脱を促す一方、AI依存を通じてそれを抑えるという、逆向きの二つの経路があることを示しました。抑え込む側の経路は、損失や失敗を避けようとする傾向が強い人ほどはっきり現れています。

上司のワーカホリズムの悪影響は部下の「同一視」で和らぐ

働きすぎの上司のもとで部下が疲弊するかどうかは、部下がその上司をどう受け止めているかによって変わるようです。本研究では、上司のワーカホリズムが部下の強迫的情熱を高め、それがバーンアウトへとつながる経路が確認されました。一方で、上司に自分を重ねるリーダー同一視が強い部下では、この経路が弱まっていました。

ビジネスモデル革新の研究は、言葉の定義がそろっていない

ビジネスモデル革新は、この15年ほどで研究者にも実務家にも注目されてきたテーマです。しかし著者らが2000年から2015年の査読論文150本を見直したところ、この分野には理論的な土台が乏しく、実証研究も積み上がっていないことが浮かび上がりました。何がきっかけで革新が起き、どんな条件でどんな成果が出るのかは、まだ十分に描かれていません。

セルフモニタリングは業績そのものより上司の評価を動かす

場面に応じて自分の振る舞いを調整する「セルフモニタリング」は、長く仕事ができる人の条件だと考えられてきました。しかし複数の研究をまとめたメタ分析の結果、職務業績との関連は全体としてわずかで、上司が付けた評価では関連が見られる一方、成果に基づく指標では見られませんでした。著者らは、これは能力の高さというより、評価する側の印象形成に働きかけた結果ではないかと述べています。

チーム研修で個人が学べるかは「チーム内の役割志向」で決まる

チーム単位の研修がうまくいったからといって、参加者一人ひとりが学べているとは限りません。本研究は、シミュレーション型のチーム訓練に取り組んだ学生チームを対象に、メンバーの役割志向が個人の学習成果とどう結びつくかを調べました。実行役・関係づくり役・段取り役という三つの志向で学びの中身が分かれ、自分の貢献を振り返る調整的学習行動がその一部を説明していました。

時間を整えるリーダーは消耗し、メンバーは救われる

締め切りやペース配分を整えるリーダーの働きかけは、メンバーにとっては助けになりますが、それを担うリーダー自身はすり減っていきます。2つのフィールド調査は、この役割をまたぐ資源のやりとりを描き出しました。さらに、チームの仕事が複雑な場面ほど、コストよりも恩恵のほうが強く現れることも示されています。

ロビイングが承認を早めるかは企業の評判しだい

企業が規制当局に働きかけるロビイングは、承認を早めることもあれば、かえって審査を慎重にさせることもあります。本研究は、当局が「早すぎる決定」と「遅すぎる決定」の両方で批判されうる立場にあり、自らの評判を守るために審査の時間を裁量的に使うと考えました。米国FDAの医療機器承認データの分析では、ロビイングと承認の速さの関係が、企業のリコール歴や革新性の評判によって変わることが示されています。

職務満足が自分の平均より高い時期は、ストレスも炎症も低い

高齢者介護施設で働く人たちを18か月にわたって追いかけた研究です。同じ人の中で職務満足が高まった時期には、知覚ストレスが低く、血液中の炎症指標も低いという関連が確認されました。勤務外で無償の介護を担う人とそうでない人とで、まったく別の経路が働くとまでは言えませんでしたが、個人の中で起きるパターンには違いが見られました。

HR分析は成果につながるのに、なぜ広がらないのか

人事のデータ活用をめぐる研究を体系的に読み解いた論文です。導入が組織の成果につながるという証拠は存在するのに、実際に取り組む組織はごく少ないという矛盾が浮かび上がりました。しかも質の高い査読誌に載った研究自体が限られており、根拠はまだ十分に積み上がっていません。