雇用関係

障害者雇用の認証や社員ネットワークがあっても、求人広告の包摂的施策は少ない

英国で、障害者雇用に関する政府の認証制度に参加していたり、障害のある社員のネットワークを持っていたりする組織は、一部の障害者向け採用・定着施策を求人広告に載せる傾向がありました。しかし、そうした組織でも記載はまれでした。認証や社内組織があることが実際の取り組みにつながっているのか、それとも対外的な見せ方にとどまっているのかが問われています。

信頼で結ぶ利害関係者との関係は、まねされにくい強みになりうる

従業員や取引先と信頼と協力に根ざした関係を築くことは、倫理的に望ましいだけではありません。他社がまねしにくい競争上の強みにもなりうる、と論じたのが本論文です。一方で著者らは、こうした関係づくりにはコストがかかり、利点がコストを上回るのは一定の状況に限られるとも指摘しています。信頼関係に「いつ、どこで」投資すべきかを考えるための理論的な枠組みを示した研究です。

移民女性の職場経験は、性別と人種が重なって形づくられる

アイルランドのサービス業で働く移民の有色女性たちは、仕事と自分らしさ、居場所の感覚を日々調整しながら働いていました。同時に、常に見られ判断される感覚と、型にはまった決めつけにさらされています。雇用主側は制度や方針、社会的・文化的な統合を包摂の制約として挙げており、個人が必要とするものと組織の現実のあいだに緊張があることが示されました。

生成AIは雇用を奪うか増やすか未確定、人事が今備えるべき論点

ChatGPTをはじめとする生成AIは、その利点と弊害をめぐって一気に議論の中心になりました。しかし、雇用が失われるのか新しく生まれるのか、あるいは人の労働がただ別の作業へ移るだけなのかは、まだ見通せていません。本稿は複数のHRM研究者が集まり、生成AIとHRMの接点を洗い出し、これから確かめるべき論点と研究の方向を示した論考です。

業績偏重のHRMを見直し、ウェルビーイングと良い雇用関係を起点に置く

人事管理は従業員と組織の双方に利益をもたらすはずだ、という考え方は以前からありました。しかし著者は、主流の理論と研究が業績向上に偏り、働く人の関心事が後回しにされ続けてきたと指摘します。そこで本論文は、ウェルビーイングと良好な雇用関係を高める施策を優先する別の分析枠組みを提案し、それが双方の利益に至るもう一つの道筋になりうると論じます。