企業が従業員に権威を行使しているとは限らない 企業は従業員を統治する「私的政府」だ、という見方が広がっています。本論文は、権威が成り立つには「従わせる意図」と「実際に従われていること」の二つが必要だと整理し、この基準では経営陣が従業員に権威を行使していると言い切れる根拠は乏しいと論じます。権威は企業に必ず備わる性質ではなく、あるかどうかは場合による、というのが結論です。 2026.09.20 組織・エンゲージメント
人事研究に定着したPLS-SEM、使い方には改善の余地 エンゲージメントのように直接は測れない概念を扱う人事研究では、PLS-SEMという分析手法が広く使われています。本研究は、主要誌に30年間で掲載された77本のHRM研究を集め、その使われ方を最新のガイドラインと突き合わせました。手法は分野に定着している一方で、適用と報告の両面に改善すべき点が残っていることが示されています。 2026.09.19 組織・エンゲージメント
セルフモニタリングは業績そのものより上司の評価を動かす 場面に応じて自分の振る舞いを調整する「セルフモニタリング」は、長く仕事ができる人の条件だと考えられてきました。しかし複数の研究をまとめたメタ分析の結果、職務業績との関連は全体としてわずかで、上司が付けた評価では関連が見られる一方、成果に基づく指標では見られませんでした。著者らは、これは能力の高さというより、評価する側の印象形成に働きかけた結果ではないかと述べています。 2026.09.18 組織・エンゲージメント
統制変数は性別・年齢・在職期間に偏り、理由の説明はほぼない 組織や人事の研究では、実験が組みにくい代わりに統制変数を入れて他の影響を取り除きます。主要誌に10年間で載った580本を内容分析したこの研究は、テーマがまるで違う領域でも統制変数が性別・年齢・在職期間に集中し、選んだ理由の説明はごくわずかだと示しました。著者らは、含めるべきかを判断するための問いと手順を提案しています。 2026.09.17 組織・エンゲージメント
女性起業家の正当性は宗教の再解釈から始まる アラブ首長国連邦の女性起業家は、国の女性活躍推進や国家発展という大きな物語に自分の事業を重ね、起業家としての正当性を語りによって築いていました。同時に彼女たちは、イスラームの教えとビジネス倫理を自ら読み直し、女性が事業を営むことは倫理的で社会的責任のある行いだと位置づけていました。外向きの説得の前に、内側での解釈のやり直しがあったのです。 2026.09.15 組織・エンゲージメント
一般知的能力の業績予測力は従来説より小さい 一般知的能力は長らく「職務業績を最もよく予測する単一の指標」と語られてきました。本研究は、1990年以降の研究を扱った三つのメタ分析のデータをすべて集め直し、重複を整理したうえで再分析しています。その結果、操作的妥当性は.18〜.22の範囲にとどまり、著者らは.20を現代の要約値として示しました。さらに、知的に複雑な仕事ほど予測力が高いという通説も、そのままでは支持されませんでした。 2026.09.14 組織・エンゲージメント
組織に大切にされている実感が、働く姿勢と成果と健康を左右する 働く人は日々の経験から、「この組織は自分の貢献を認め、自分を気にかけてくれるか」という総合的な見方を作り上げます。著者らは、この見方を扱う理論について、蓄積された既存研究を統合して検証しました。その結果、何がこの実感を高めるのか、そしてそれが何につながるのかという理論の予測は、おおむね支持されました。関係の強さの違いや、あいだに入るしくみまで言い当てていた点が特徴です。 2026.09.12 組織・エンゲージメント
退屈が増えた時期は落ち込みと先延ばしも同時に増える 仕事の退屈が高まった時期には、同じ時期に抑うつ気分やフラストレーションも高まり、それを通じて先延ばしや反生産的職務行動の増加ともつながるという関係が見られました。一方で、6週間後の時点への持ち越し(時間差の関係)は確認されていません。さらにこの結び付きは、仕事の進め方を自分で決められる度合いが高い人ほど弱くなっていました。退屈への対処は、起きているその時期に手を打つことが鍵になりそうです。 2026.09.11 組織・エンゲージメント
やる気の「量」より「質」が成果と健康を決める 働く人のやる気は、多いか少ないかではなく、どんな質かで結果が変わります。本論文は自己決定理論の研究を職場の文脈で整理し、自律的動機づけが成果の質と働く人のウェルビーイング(心身の良好な状態)の両方を支えることを論じます。さらに、変革型リーダーシップや職務特性、公正さ、報酬制度との関係も検討しています。 2026.09.10 組織・エンゲージメント
危機下の企業と人道支援の連携は、原則を組み込まないと害になる 災害や紛争などの急性期の危機で、企業と人道支援組織の連携が増えています。この論文は、善意の協働であっても被災した人々に害を与え、人道支援のあり方を歪めうると指摘します。そのうえで、人道原則を各段階の倫理的な制約として組み込んだ評価枠組み「Humanitarian Impact Value Chain(HIVC)」を提案しています。 2026.09.09 組織・エンゲージメント