会議の「頻度と間隔」は、会議の質とは別の重要な設計対象だと提起した理論研究

会議の「頻度と間隔」は、会議の質とは別の重要な設計対象だと提起した理論研究 (人材論文百科の論文紹介)

紹介する論文

Meeting Cadences in Organizations: A Multilevel Conceptualization

Liana Kreamer, Delia R. Bingea, George Stock, Victoria Massey / Group & Organization Management (2026年) / DOI: 10.1177/10596011261486494

邦題(編集部訳): 組織における会議ケイデンス:マルチレベルの概念化

結論

この理論研究は、関連する一連の会議をどんな周期・頻度・間隔で開くかという「会議ケイデンス」を、会議の質とは別の組織的な概念として位置づけました。個人・二者・チーム・組織の各レベルで仕事の調整に関わると論じ、実証研究が必要だと訴えています。人事・研修担当にとっては、会議の改善を中身だけでなく、日程の組み方からも見直すきっかけになります。

オンライン会議やハイブリッドワークが広がり、会議は設定しやすくなりました。その一方で、会議の数は増えています。これまでの研究は、アジェンダや進行といった会議の「質」に注目してきました。本論文は、関連する会議をどんな周期・頻度・間隔で開くかという「会議ケイデンス」に光を当てています。著者らはこれを独立した組織の概念として定義し、複数のレベルで研究するための理論的な枠組みと、今後の研究課題を示しました。

この論文の要点

  • 会議の周期・頻度・間隔を「会議ケイデンス」と定義し、会議の質とは別の概念として位置づけた
  • 個人・二者・チーム・組織の各レベルで、仕事の調整に中心的な役割を果たすと論じた
  • データ分析ではなく概念研究。実証研究の必要性と今後の研究の方向を示した

研究の問い

多くの従業員は、勤務時間のかなりの部分を会議に使っています。オンライン会議やハイブリッドワークの広がりで日程調整は楽になりましたが、そのぶん会議負荷(会議に取られる時間や負担の総量)も増えやすくなっています。これまでの会議研究は、アジェンダの有無、ファシリテーション、参加者の関与といった「1回ごとの会議の質」を主に扱ってきました。一方で、関連する複数の会議を時間の中でどう並べるかはほとんど研究されていません。毎週開くのか隔週にするのか、どれくらい間を空けるのかといった点です。本論文はこの空白に着目しています。

調べ方

本論文は、アンケートや実験でデータを集める実証研究ではありません。既存の理論をもとに新しい概念を整理する概念研究です。著者らは会議ケイデンスを「関連する一連の会議が、時間の流れの中でどんなパターン・頻度・間隔で開かれるか」と定義し、ほかの会議の特徴とは区別できる組織の概念として位置づけました。そのうえで、個人・二者関係(上司と部下など2人の組み合わせ)・チーム・組織という複数の分析レベルごとに、研究に使える理論的なアプローチを提案しています。具体的にどの理論を使ったかは、抄録では明記されていません。

わかったこと

第一に、著者らは会議ケイデンスを、会議の質とは異なる独立した組織の概念として扱うべきだと主張しています。同じ内容の会議でも、どの周期で、どれだけ間を空けて開くかによって、仕事の進み方が変わりうるという見方です。

第二に、会議ケイデンスはマルチレベル(複数の階層にまたがる)な現象だと論じています。個人の働き方、二者関係、チームの協働、組織全体の調整のそれぞれに関わり、階層どうしで影響し合う可能性もあります。そのため、一つのレベルだけを見ても全体はつかめないという立場です。

第三に、各レベルで会議ケイデンスを研究するための理論的なアプローチと、今後の研究の方向性を示しました。本論文は、会議の時間的構造(会議を時間の中にどう並べるか)の理解を進めるものです。そのうえで、組織が根拠に基づいて会議日程を組めるよう、実証研究を積み重ねることを呼びかけています。なお、どのケイデンスが望ましいかという具体的な結論は示されていません。

人事・研修担当への示唆

  • 定例会議を棚卸しし、目的ごとに開く頻度と間隔が今も妥当かをチームで見直す場を設ける
  • 会議研修では進行やアジェンダに加えて、一連の会議の開催リズムの組み方もテーマとして扱う
  • 従業員調査で会議負荷や会議の間隔についての感じ方を尋ね、部署ごとの違いを把握しておく

読むときの注意点

本論文は概念研究で、データによる検証はまだ行われていません。そのため、特定の会議ケイデンスが業績や満足度を高めるといった効果は示されていません。ここでの示唆は、今後検証されるべき「見方」として受け止めてください。自社で試す場合は小さく始め、効果を確かめながら進めることが大切です。

キーワード解説

会議ケイデンス
会議ケイデンスとは、関連する一連の会議を、時間の流れの中でどのようなパターン・頻度・間隔で開くかという、会議の開催リズムのことです。
会議負荷
会議負荷とは、会議への参加や準備によって、従業員の時間や注意がどれだけ占められているかという、会議にまつわる負担の総量のことです。
概念研究
概念研究とは、新たにデータを集めて分析するのではなく、既存の理論や知見を整理して、新しい概念や研究の枠組みを提案する研究のことです。
分析レベル
分析レベルとは、個人・二者関係・チーム・組織など、研究で現象をとらえて比べるときの単位となる階層のことです。
マルチレベル
マルチレベルとは、ある現象が個人・チーム・組織など複数の階層にまたがって存在し、階層どうしで影響し合うとみなす考え方のことです。
二者関係
二者関係とは、上司と部下や同僚どうしなど、2人の人物の間に成り立つ関係を、ひとつの単位としてとらえたもののことです。
時間的構造
時間的構造とは、活動や出来事を、時間の流れの中でどのような順序や間隔で並べるかという、仕事の時間面での組み立て方のことです。

よくある質問

Q
会議の頻度や間隔は研究されているの?
A
これまでの会議研究は、アジェンダや進行、参加者の関与など、1回ごとの会議の質が中心でした。関連する会議をどんな周期や間隔で開くかは、あまり扱われていません。本論文はこれを「会議ケイデンス」と呼び、独立したテーマとして研究する必要があると訴えています。
Q
定例会議は毎週と隔週のどちらがよい?
A
この論文は概念研究なので、どの頻度や間隔が望ましいかという答えは示していません。著者らは、根拠に基づいて会議日程を決められるよう、実証研究が必要だと呼びかけています。今のところは、会議の目的やチームの状況に合わせて試し、効果を確かめながら調整するのが現実的です。
Q
会議のリズムはチーム以外にも影響する?
A
著者らは、会議ケイデンスが個人・二者関係・チーム・組織という複数のレベルで、仕事の調整に関わると論じています。個人の働き方から組織全体の連携まで、階層をまたいでとらえるべき現象だという立場です。ただし、実際にどれほど影響するかはまだ検証されていません。

原論文のライセンス: 記載なし。本記事は原論文の内容を人材論文百科の編集部が独自に読み解いてまとめたもので、抄録や本文の翻訳・転載ではありません。図表は掲載していません。正確な内容は冒頭のDOIから原典をご確認ください。

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