西洋発の枠組みでは多極化する世界の人事は語れない 国際人的資源管理の研究者が集まり、いまのグローバル人事の理論が現実に追いついているのかを検討した論考集です。結論は、欧米で組み立てられた「どこでも通用する」枠組みでは、政治と経済の中心が分散し、制度も文化も異なる現在の環境を説明しきれない、というものでした。国・組織・個人という3つの層をつなぎ、地域の文脈に合わせて人事を設計し直す必要があると述べています。 2026.09.11 採用・HRテック
退屈が増えた時期は落ち込みと先延ばしも同時に増える 仕事の退屈が高まった時期には、同じ時期に抑うつ気分やフラストレーションも高まり、それを通じて先延ばしや反生産的職務行動の増加ともつながるという関係が見られました。一方で、6週間後の時点への持ち越し(時間差の関係)は確認されていません。さらにこの結び付きは、仕事の進め方を自分で決められる度合いが高い人ほど弱くなっていました。退屈への対処は、起きているその時期に手を打つことが鍵になりそうです。 2026.09.11 組織・エンゲージメント
ガラスの天井は残り、越境するキャリア研究が広がる ジェンダーとキャリアに関する学術研究を長期にわたって集め、地図として整理した論文です。研究の量は増え続けており、中心にあるのは「ジェンダー化された組織」や不平等、昇進を阻む「ガラスの天井」といった主題でした。同時に、コロナ禍やデジタル化、ギグエコノミーを背景に、女性起業や国際キャリア、バウンダリーレス・キャリアへの関心が高まっていることが示されています。 2026.09.11 多様性・ハラスメント
気候アクティビズムは事業と両立する形だけがキャリアに報われる 社内で気候変動に取り組む専門職の活動は、どんな形なら評価され、どんな形なら見過ごされるのか。本研究は、専門サービス企業で働くコンサルタントらへの聞き取りから、活動の進め方には三つの型があり、事業と両立しやすい形ほどキャリア上の見返りを得やすいことを示しました。抵抗的な活動は評価されにくく、社内の変化は小幅なものにとどまりやすいと論じられています。 2026.09.10 リーダーシップ・マネジメント
職務の要求と資源の理論は、個人差・階層・家庭へ広がった 働く人が消耗するか、いきいき働けるかは、仕事の負荷と、それを支える資源の組み合わせで決まる。この考え方を提唱した著者ら自身が、先行レビュー以降の研究の広がりを整理し直したのが本稿です。近年の発展として、人によって効き方が違うこと、要求と資源は個人だけでなくチームや組織にもあること、働く人が自ら環境に働きかけること、そして仕事と家庭がつながっていることの四つが挙げられています。 2026.09.10 働き方・ウェルビーイング
やる気の「量」より「質」が成果と健康を決める 働く人のやる気は、多いか少ないかではなく、どんな質かで結果が変わります。本論文は自己決定理論の研究を職場の文脈で整理し、自律的動機づけが成果の質と働く人のウェルビーイング(心身の良好な状態)の両方を支えることを論じます。さらに、変革型リーダーシップや職務特性、公正さ、報酬制度との関係も検討しています。 2026.09.10 組織・エンゲージメント
危機下の企業と人道支援の連携は、原則を組み込まないと害になる 災害や紛争などの急性期の危機で、企業と人道支援組織の連携が増えています。この論文は、善意の協働であっても被災した人々に害を与え、人道支援のあり方を歪めうると指摘します。そのうえで、人道原則を各段階の倫理的な制約として組み込んだ評価枠組み「Humanitarian Impact Value Chain(HIVC)」を提案しています。 2026.09.09 組織・エンゲージメント
社会的評価が目標を上回ると企業の善行は緩む 企業の社会貢献は、経営者個人の「自分は道徳的な人間だ」という感覚に左右されるようです。本研究は、自社の社会面での成績が目標を下回ると経営者が埋め合わせに動き、上回るとむしろ気が緩むという、道徳のシーソーのような仕組みを描きました。企業の状況が経営者の心理に降り、そこから再び企業の行動へ戻る往復の道筋を、アーカイバルデータの分析と実験の両面から検討しています。 2026.09.09 倫理・コンプライアンス
一人で遊ぶ販促ゲームは、対戦型より倫理的だと感じられる ゲーム要素を使った販促キャンペーンを、消費者はどこまで公正だと感じるのでしょうか。オンライン実験の結果、一人で完結する設計は、他の参加者と関わる設計より倫理的だと評価されました。複数人で遊ぶ場合でも、競い合う設計より協力し合う設計のほうが好意的に受け止められています。一方、結果が腕前で決まるか運で決まるかという違いは、それ自体では評価を分けませんでした。 2026.09.09 育成・評価・タレント
個人報酬もチーム報酬もアイデアを却下させる、効くのは両者の組み合わせ チームの創造性を引き出したいなら、報酬の置き方が鍵になるかもしれません。実験室での研究によれば、個人の成果に報いる報酬はもちろん、チームの成果に報いる報酬でも、話し合いの中でアイデアが却下される回数は増えていました。最も却下が少なかったのは、個人とチームの両方に報いる混合報酬の条件です。自己志向と向社会性のどちらか一方を強調するより、両立させる設計が有効だと示唆されます。 2026.09.08 チーム・協働