組織行動

組織に大切にされている実感が、働く姿勢と成果と健康を左右する

働く人は日々の経験から、「この組織は自分の貢献を認め、自分を気にかけてくれるか」という総合的な見方を作り上げます。著者らは、この見方を扱う理論について、蓄積された既存研究を統合して検証しました。その結果、何がこの実感を高めるのか、そしてそれが何につながるのかという理論の予測は、おおむね支持されました。関係の強さの違いや、あいだに入るしくみまで言い当てていた点が特徴です。

退屈が増えた時期は落ち込みと先延ばしも同時に増える

仕事の退屈が高まった時期には、同じ時期に抑うつ気分やフラストレーションも高まり、それを通じて先延ばしや反生産的職務行動の増加ともつながるという関係が見られました。一方で、6週間後の時点への持ち越し(時間差の関係)は確認されていません。さらにこの結び付きは、仕事の進め方を自分で決められる度合いが高い人ほど弱くなっていました。退屈への対処は、起きているその時期に手を打つことが鍵になりそうです。

やる気の「量」より「質」が成果と健康を決める

働く人のやる気は、多いか少ないかではなく、どんな質かで結果が変わります。本論文は自己決定理論の研究を職場の文脈で整理し、自律的動機づけが成果の質と働く人のウェルビーイング(心身の良好な状態)の両方を支えることを論じます。さらに、変革型リーダーシップや職務特性、公正さ、報酬制度との関係も検討しています。

社会的評価が目標を上回ると企業の善行は緩む

企業の社会貢献は、経営者個人の「自分は道徳的な人間だ」という感覚に左右されるようです。本研究は、自社の社会面での成績が目標を下回ると経営者が埋め合わせに動き、上回るとむしろ気が緩むという、道徳のシーソーのような仕組みを描きました。企業の状況が経営者の心理に降り、そこから再び企業の行動へ戻る往復の道筋を、アーカイバルデータの分析と実験の両面から検討しています。

個人報酬もチーム報酬もアイデアを却下させる、効くのは両者の組み合わせ

チームの創造性を引き出したいなら、報酬の置き方が鍵になるかもしれません。実験室での研究によれば、個人の成果に報いる報酬はもちろん、チームの成果に報いる報酬でも、話し合いの中でアイデアが却下される回数は増えていました。最も却下が少なかったのは、個人とチームの両方に報いる混合報酬の条件です。自己志向と向社会性のどちらか一方を強調するより、両立させる設計が有効だと示唆されます。

変化への抵抗は、人の脳・組織・因果の三層に埋め込まれている

組織変革がうまくいかない理由を、著者は「人が抵抗するから」では説明が浅いと考えます。この論文は、認知神経科学・システム理論・複雑性科学を手がかりに、抵抗が人・組織・因果という三つの層に埋め込まれた制約の表れだと論じます。そして、制約に逆らうのではなく沿うように施策を設計することを提案しています。

活力は正午がピーク、努力の影響は夕方に現れる

同じ「がんばり」でも、活力を高めるときと奪うときがあります。この研究は、1日の活力の動きを資源動員・資源活用・資源撤退という三つの局面に分けて追いかけ、睡眠の質が朝の立ち上がりに、正午の努力が日中の下降に、午後の努力と没入が夕方の落ち込みに関わることを示しました。努力の代償は、働いている最中よりも、終業後にはっきり見えてきます。

働く人を「平均」ではなく「タイプ」で捉える分析法の要点

同じ職場でも、働き方のパターンは人によって違います。この論文は、そうした「人の中での変数の組み合わせ」からタイプを取り出す潜在プロファイル分析について、職業行動研究での使われ方を整理した総説です。すでに幅広いテーマで使われている一方、手順や報告の仕方にばらつきがあることを示し、実践しやすい手引きとベストプラクティスをまとめています。

言語による締め出しが組織への所有感を弱め、破壊的な発言を招く

多言語で働く職場が増える一方、言語を理由に会話から外されることが従業員に何をもたらすかは、あまり調べられてきませんでした。本研究は、こうした言語による排除が組織に対する所有の感覚を弱め、その結果として組織への仕返しの色を帯びた否定的な発言を増やすことを、実験と現場調査の両方で確かめています。さらに、従業員を意思決定に巻き込む働きかけが、その悪影響を和らげることも示されました。

女性の適応支援より、ジェンダー障壁を直接取り除く実践が効く

人里離れた過酷な現場に出向く地球科学の仕事で、女性はどのように壁を越えているのでしょうか。この研究は、男女の地球科学者への67件の半構造化インタビューから、現場の物理的な条件と周囲との社会的な関係の両方に根ざしたジェンダー障壁と、女性が取る戦略を描き出しました。環境に自分を合わせる対応は障壁を温存しやすく、障壁そのものに働きかける対応と、それを直接扱う組織慣行のほうが効果的でした。