職務の要求と資源の理論は、個人差・階層・家庭へ広がった 働く人が消耗するか、いきいき働けるかは、仕事の負荷と、それを支える資源の組み合わせで決まる。この考え方を提唱した著者ら自身が、先行レビュー以降の研究の広がりを整理し直したのが本稿です。近年の発展として、人によって効き方が違うこと、要求と資源は個人だけでなくチームや組織にもあること、働く人が自ら環境に働きかけること、そして仕事と家庭がつながっていることの四つが挙げられています。 2026.09.10 働き方・ウェルビーイング
やる気の「量」より「質」が成果と健康を決める 働く人のやる気は、多いか少ないかではなく、どんな質かで結果が変わります。本論文は自己決定理論の研究を職場の文脈で整理し、自律的動機づけが成果の質と働く人のウェルビーイング(心身の良好な状態)の両方を支えることを論じます。さらに、変革型リーダーシップや職務特性、公正さ、報酬制度との関係も検討しています。 2026.09.10 組織・エンゲージメント
危機下の企業と人道支援の連携は、原則を組み込まないと害になる 災害や紛争などの急性期の危機で、企業と人道支援組織の連携が増えています。この論文は、善意の協働であっても被災した人々に害を与え、人道支援のあり方を歪めうると指摘します。そのうえで、人道原則を各段階の倫理的な制約として組み込んだ評価枠組み「Humanitarian Impact Value Chain(HIVC)」を提案しています。 2026.09.09 組織・エンゲージメント
社会の難題は、協働の設計次第で組織が挑める課題になる 地球規模の社会問題は、個人や一組織の努力だけでは動きません。この論文は、そうした問題を協調と協働によって現実的に取り組みうる課題として定式化し、その立案・言語化・実行を分析するための枠組みを提示しました。あわせて、集合的な目標の達成を高める要因と抑え込む要因を挙げ、今後の実証研究が向かうべき問いを示しています。 2026.09.08 リーダーシップ・マネジメント
変化への抵抗は、人の脳・組織・因果の三層に埋め込まれている 組織変革がうまくいかない理由を、著者は「人が抵抗するから」では説明が浅いと考えます。この論文は、認知神経科学・システム理論・複雑性科学を手がかりに、抵抗が人・組織・因果という三つの層に埋め込まれた制約の表れだと論じます。そして、制約に逆らうのではなく沿うように施策を設計することを提案しています。 2026.09.07 育成・評価・タレント
働く人を「平均」ではなく「タイプ」で捉える分析法の要点 同じ職場でも、働き方のパターンは人によって違います。この論文は、そうした「人の中での変数の組み合わせ」からタイプを取り出す潜在プロファイル分析について、職業行動研究での使われ方を整理した総説です。すでに幅広いテーマで使われている一方、手順や報告の仕方にばらつきがあることを示し、実践しやすい手引きとベストプラクティスをまとめています。 2026.09.07 働き方・ウェルビーイング
サステナブルAIは徳倫理と人間中心設計で一つに束ねられる AIをどう使うかという話と、AIそのものが資源を使い偏った扱いを生むという話は、これまで切り離して論じられてきました。この論文は、その二つを一つの倫理の問いとして捉え直し、人がよく生きること、自分で判断する力、そして共に育てる善さを軸にした枠組みを提案します。徳の考え方と人間中心の設計思想を重ね、現場・組織・文化の三つの層でAIを見る道筋を描いた理論研究です。 2026.09.06 倫理・コンプライアンス
AIの自動化と人の拡張は分けられず、偏れば悪循環になる 機械が人の仕事を引き受ける「自動化」と、人が機械と密に組んで仕事をする「拡張」。近年のビジネス書はこの二つを分けたうえで、拡張を優先せよと説いてきました。本論文はそこに異を唱えます。マネジメントの現場では両者を切り分けられず、どちらかに偏れば組織にも社会にも望ましくない結果を招く。両方を抱え込む視点こそが、事業と社会の双方に効いてくると論じます。 2026.09.05 採用・HRテック
エコシステムを「構造」として定義し直すと、似た言葉との違いが見える 「エコシステム」という言葉は、この20年ほどで経営戦略の議論に広く入り込みました。本論文はその言葉を、組織や活動のあいだの相互依存を表す「構造」としてとらえ直し、明確な定義と、構造を書き表すための文法、そしてエコシステム戦略ならではの論点を示します。さらにビジネスモデルやプラットフォームといった近い概念と突き合わせ、この言葉が議論に何を足し、何を足さないのかを切り分けています。 2026.09.05 リーダーシップ・マネジメント
人とAIのチームの適応は4つの条件が左右する 人とAIエージェントが混ざったチームは、状況が変わったときにうまく噛み合わなくなりがちです。本研究は、これまでのチーム理論だけではその難しさを説明しきれないとして、メンバー・仕事・環境の相互作用をひとつの枠組みに束ねる考え方を提案しました。鍵になるのは、予測可能性・観察可能性・計画可能性・指示可能性という4つの条件です。 2026.09.04 チーム・協働